おすすめ本:『目の見えない人は世界をどう見ているのか』障害者と対等になるための身体論

こんにちは。化学系博士のshuheiです。

今回は最近読んだ本について。

本屋さんで見かけるこちらの本です。

 

 

もともと生物学者を目指しており今は"美学"が専門である著者がインタビューを行った結果から、

視覚障害者に特有の世界のとらえ方を分析します。

常識を覆されるような、ハッとさせられる瞬間が多く、すぐに読み終えることができました。

障害者と共生するための画期的な手がかりが示されています。

 

 

福祉についての本?

著者は、本書を福祉関係の本ではなく、視覚障害者の身体論である、と前置きしています。

しかし、私は紛れもなく福祉の本だと感じました

もちろん、内容としては障害者の身体の使い方や、世界の認識の仕方が、生の情報源をもとにありありと解説されています。

ただ、著者の姿勢は非常に福祉的で、障害者とどう向き合うべきかという葛藤が感じられます。

そして、その答えの一つが、本文中でも述べられていますが、

障害者の身体の特徴に好奇の目を向け、おもしろがることなのです。

 

障害者の異常な感覚

視覚障害者が異常なまでに鋭い聴覚や嗅覚を持ち、視覚を補っているというのはよく聞く話です。

私も、この本を手に取った時は、そのような特殊な力について述べた本ではないかと想像しました。

しかし、それは間違いでした。

そもそもその鋭い感覚を「すごい」などと思ってしまっている所に、

対等でない立場が発生しています。

この本のタイトルはあくまで『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

目を使わなくても「見る」ことができるし、「読む」こともできるのです。

そのあたりの感覚が、詳しく解説されています。

 

対等になる事の難しさ

私自身、障害者と接する機会は多くなかったですが、

どうすれば共生が実現できるのかについてぼんやり考えることはありました。

障害者は社会において様々な困難に直面します。

その苦労の大きさは計り知れないため、

どうしても「気を使い、助ける」という構図になってしまいがちです。

 

対等になる方法

その一つの手がかりが、障害者の世界の見方に興味を持ち、面白がることなのです。

例えば、「視覚」障害者には「死角」がありません

目が見えないと視点が生まれないため、体の前か後ろか、という区別がなくなるのです。

これはさらに表と裏、内と外といった概念の消失にもつながり、

モノをそのままの形で認識するという特徴があるのです。

面白い、ですよね。

 

視覚障害者との共生と聞いて思い浮かべるのは点字や音声案内といったものですが、

これらはすべて情報を与えるという構図になっています。

もちろんこれも必要ですが、これだけでは対等な関係の構築が難しくなり、いつまでも心理的なバリアがあるままです。

これに対して、上述のように世界の違いを面白がる、というのはお互いの世界の境界を取り払ってのぞき見してみることです。

筆者はこのような意味的な関わり合いが重要であると考えているのです。

 

まとめ

これは障害者と対等になるための大きなヒントであり、私にとって発見でした。

こちらの世界に合わせるための情報の提供ではなく、

お互いの世界を並列に比べてみて、共生の方法を探るということです。

ここに紹介できなかった数多くの興味深いエピソードがまだまだありますので、

ぜひ読んでみてください。

 

 

 

 

化学メーカーの博士選考 開始時期をまとめます!

化学メーカーの博士選考開始時期

こんにちは。化学系博士課程のshuheiです。

 

「博士の選考はいつから始まる...?」

「いつから準備を始めればいいのだろう...?」

 

私もD1ぐらいのころ、こういった不安がありました。

博士の就活に関する情報はあまりないので、困りますよね。

今回は、私が経験した2021卒就活について、化学メーカーの博士選考開始時期をまとめます。

選考時期は年々早期化する傾向にあり、

早めの準備と、常にアンテナを張っておくことが重要です。

 

 

博士専用の選考

近年博士の積極採用が進んでおり、博士専用の早期選考を行っている会社が増えてきています。

特に製薬系は選考が速く、化学メーカーも年々早期化する傾向にあります。

 

もちろん、修士と同じ時期に選考を行う企業もあります。

ただ、早期選考を行うということは博士を欲しがっているということですので、

もし志望企業があればエントリーし、早めに就活を終わらせてしまうと気持ちが楽ですね。

 

選考開始時期まとめ

2021卒の選考時期を、私が把握できた範囲で、エントリー開始順に並べています。

すべてD2の年度における日程です。

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特に開始が速いのは、東レ住友化学で、10月にプレエントリーを開始しています。

ただ、東レはESの締切が遅めで、1月以降に面接が行われているようでした。

一方、住友化学はES提出者から随時選考が開始され、早い人は10月中にも内々定をもらっているようです。

旭化成は11月頭に開始。

三井化学三菱ケミカルAGC積水化学は12月スタートでした。

 

選考開始時期の把握の仕方

選考時期は毎年変わり、年々早期化する傾向にあるため、しっかりアンテナを張っておく必要があります。

10月以降くらいの時期は、定期的に企業の採用HPをチェックしておきましょう。

 

なお、夏インターンや合同セミナー等で人事の方と話せる機会があれば、直接聞くこともできます。

その時点で決まっていれば、教えてもらえる可能性が高いです。

こういった生の情報を自分の足で取りに行くという意識は大事ですね。

 

いつから就活準備を始める?

オススメは、D2の4月ごろです。

人によっては早いと思われるかもしれませんが、

ライバルと差をつけるためには、いかに早く準備を始めるかです。

 

この時期くらいから就活を意識し始め、自己分析企業研究を進めましょう。

そして、6月ごろからはインターン選考が始まり、夏にインターンがあります。

そして早い企業では10月から本選考が始まります。

こう考えると、D2の4月が決して早くないと思えますね。

 

まとめ

・早期選考は10月ごろからスタート

・毎年時期が変わるので、企業HPをチェックしておく

・就活準備はD2の4月ごろからがおすすめ

 

博士選考は年々早期化する傾向にあります。

博士を求めている企業に積極的にアプローチするためにも、

常にアンテナを張っておき、乗り遅れないようにしましょう。

 

 

研究のモチベーションの保ち方

研究のモチベーションの保ち方

こんにちは。化学系博士課程のshuheiです。

 

「最近研究にやる気が出ない...」

「博士課程の3年間、モチベーションが続くだろうか...?」

 

研究をしているとどうしても同じような毎日の繰り返しになり、

無気力になる事もありますよね。

そんな時にどうやって自分をマネジメントしていくのか

私なりのテクニックをお伝えしたいと思います。

 

 

1. 刺激を得る

無気力になる原因の一つは、毎日同じことの繰り返しでつまらないからです。

本来研究が好きな人なら楽しいはずですが、

再現性を取るために何度も同じ実験をしていたりすると、飽きてきますよね。

そんなマンネリ状態に陥らないためには、どうにかして刺激を得ることが重要です。

 

最も刺激になると思うのは、学会やセミナーに参加することです。

同じ分野でバリバリ研究を進め成果を出し、面白い発表をしている人を見ると、

自分もやらなければ、と思いますよね。

また、自分も発表すれば、

世界中の研究者のうちのひとりとして認められているという実感が得られます。

 

他にも刺激を得る方法は色々あります。

企業研究者や研究室のOBの話を聞くのも刺激になりますし、

研究者・経営者の本を読むのもいいですね。

とにかく、研究室の世界にとじこもらず外からの刺激を自分に入れ、

世界のうちの一人という認識を持つことが大事だと思います。

 

2. 脳の疲労をためない

そもそも、脳が疲れないような生活を心掛けることも重要です。

特に重要なのが、

疲れの大部分は、作業量によるものではなく、”決断”によるもの

だということです。

 

私たちは日々膨大な選択肢の中から選択を迫られ、決断を重ねて生活しています。

決断をいかに減らし、実際の作業に脳を使えるかが重要になります。

そのために、朝起きて夜寝るまでの行動を可能な限りルーティン化しましょう。

ルーティンを作るのは少し大変ですが、一度体に染みつけば余裕が生まれます。

このあたりのことはDaiGoさんの本が参考になります。

 

自分を操る超集中力

自分を操る超集中力

 

 

 

それでもどうしても疲れるときはありますよね。

そんな時にすべてを忘れて没頭できる趣味は必要だと思います。

また、なにもせずボーっとする時間も必要です。

ボーっとしている時間にも脳は働いており、この時間がひらめきを生むのに重要であることも分かってきています。

www.nhk.or.jp

 

3. 目的を再確認する

同じような毎日を繰り返していると、目先の実験を成功させることや、

報告会を乗り切ることが目的になっていることはないでしょうか。

研究のリズムを保つためにはそれも重要ですが、たまにはもっと先の目的を思い出すことが必要です。

 

自分は何のために研究をしているのか、根本から考えましょう。

将来企業研究者として活躍するため、学会で賞をもらうため、就活を成功させるため...など、

なんでもいいと思います。

重要なのは、自分の本音を知る事です。

 

そのためには、就活でよく耳にする自己分析も有効です。

自己分析は、就活に限らず、人生の選択をしていく上で役に立ちます。

やり方をこちらの記事で解説しています。

shuheichem.hatenablog.com

 

 

 4. 深刻に考えない

研究をしていると、丸一週間かけた実験の結果何も得られない、といったようなことが多々あります(自分はありました。笑)

やっぱり結果が出ないと落ち込みますし、やる気も低下します。

しかし、そんな時深刻に考えないことが大事です。

 

時間的に追い込まれると、どうしても視野が狭くなります。

そうすると、研究でうまくいかないことがとんでもなく重要な問題に思えてきます

しかし、 失敗したからと言って、死ぬわけでも、将来が決まってしまうわけでもありません

 

また、ある程度の鈍感さは、研究者にとって必要なのではないかと僕は最近感じています。

データは嘘をつきません。

結果が出ないのは、アプローチが悪かったり、ミスをしているためです。

それを冷静に受け止め、まあいいか、とすぐ忘れられる人は、どんどん実験を進められます。

 

どうすれば結果が得られるのか、というプロセスで試行錯誤するのが研究の醍醐味だと思います。

そのプロセス自体を楽しんでやることが大事ですね。

 

まとめ

・外部からの刺激を積極的に取り込む

目的を再確認する

・深刻に考えすぎない

 

大学院での研究は修士で2年、博士で計5年以上と、とても長いです。

20代の大切な時期を費やすことになります。

長い目で見て、充実した時間を過ごせるように、モチベーションを保ちましょう。

そのための自己管理のやり方を、自分に合ったものに最適化していきましょう。

OB・OG訪問を理系大学院生にもオススメする理由

理系大学院生のOB訪問

こんにちは。化学系博士のshuheiです。

 

「OB訪問ってよく聞くけど理系でもやった方がいい?」

「OB訪問すれば選考に有利になる?」

 

OB・OG訪問とは、現在企業で働いている研究室や大学のOB・OGを訪問して話を聞き、就活に役立てるというものです。

文系の就活ではよく行われるようですが、理系ではあまり浸透していないように思います。

私は5人ほどのOBを訪問してみて、得た情報を就活に役立ててきましたが、

やはり理系大学院生も積極的にOB訪問をすべきだと思いました。

今回は、その理由について書きたいと思います。

 

 

メリット(1) 質の高い情報が得られる

OB訪問は同じ研究室の先輩などを訪問するため、同じ境遇の人がその企業でどのように働いているかを知ることができます。

もちろん同じ部署になるとは限りませんが、近い働き方をすることになります。

そんな人の仕事内容、専門性の活かし方、やりがいなどを聞いておくことは非常に重要です。

 

HPなどには書いていない生の情報は、今後志望動機を作成する際にも役立ちます。

もちろん企業説明会の座談会などでも質問はできますが、集団に向けての説明会である以上、あまりに個人的なことは聞きにくいです。

1対1で長時間話を聞くことで、かなりその企業や仕事についてイメージが固まってきます

 

メリット(2) 選考対策になる

先ほども書いたように、OB訪問で得た質の高い情報は、志望動機を作成する上で武器になります。

他の学生が持っていない情報ですから、周りとの差別化になります。

また、それ以外に選考の対策について直接聞くこともできます

ESはどんなことを意識して書き、面接の雰囲気や質問はどんなもので、何をアピールしたか、なども聞けるので非常に助かります。

OBということである程度つながりがあるので、聞きやすいです。

 

選考で有利になる?

会社によっても違うと思いますが、私はあまり選考には関係しないと感じました

理系の方の場合、会社を遠さず直接研究室のOBに連絡して会う、という形が多いと思います。

そのOBが人事の方などに報告してくれれば、多少有利になるかもしれませんし、志望度の高さは伝わります。

ただ、あくまでも理系の就活(特に研究職)で重要なのは研究能力やプレゼン能力です。

選考のためというよりは、企業研究や就活の軸づくりのためと考えた方がいいでしょう。

 

OB訪問のやり方

まずOB訪問の時期ですが、選考活動が本格化する3月より前がオススメです。

3月以降は面接や説明会など様々な予定が入ってくるため、予定が入れづらいです。

3月以前に行って十分に企業研究を進めた上で、選考に臨みましょう。

 

そして具体的な方法ですが、まずは連絡先を入手しましょう。

研究室の先輩であればメールアドレス等分かると思いますし、

研究室の同期や友人など、つながりを見つけましょう。

そしてメールでとりあえず連絡を取り、OB訪問を受け入れてもらえるか確認しましょう。

その後の詳細なやり方については、調べればたくさん出てきますので、そちらを参考にしてください。

色々やり方が書かれていますが、社会人としてのマナーができていれば、あまり固くなりすぎる必要はないです。

OBとしては、興味を持ってくれること自体は嬉しいと思いますので。

 

まとめ

・OB訪問は理系大学院生にもおすすめ

・企業へのイメージを固めることができ、選考対策にもなる

・就活解禁の3月以前に行う

 

OB訪問は、他の就活生が持っていない情報を得ることができ、理系大学院生にもオススメです。

直接会って1対1で話を聞く、というのは就活に限らず最も直接的な情報収集だと思います。

社会人と話すことはいい経験にもなります。

直接選考には影響しないかもしれませんが、得るものは多いので、

ぜひ志望度の高い企業にOBがいれば、話を聞いてみましょう。

 

 

 

 

 

企業研究の方法 イメージに惑わされず、客観的に比較する!

企業研究のやり方

こんにちは。化学系博士課程のshuheiです。

今回は、企業研究の方法についてです。

 

「もうすぐ就活だけど、どの企業も同じに見えて、絞れない・・・」

「企業研究って、何をすればいいの?」

 

企業研究って何から始めればいいか最初は分かりませんよね。

なんとなくのイメージで選んでしまい、後悔しないように、客観的指標を使って比較しましょう。

今回は、企業研究のやり方について5つの軸でご紹介します。

この記事は主に理系大学院生を対象にしています。

 

 

1. 事業内容・研究内容

その会社がどんな事業を展開しているのか調べましょう。

興味のある分野であったり、専門を生かせる分野かどうかは重要ですね。

まずは企業のHPをくまなく読んでざっくり把握しましょう。

 

その次におすすめなのがアニュアルレポート(年次報告書)を読むことです。

これは一年間の業績をまとめ、今後の展望を示したものなので企業研究する上で非常に役に立ちます。

HPのどこかで公開されているので探してみてください。

 

事業を把握したら、具体的にどんな研究が行われているかを調べましょう。

企業秘密なので、開示されていない部分も多いですが・・・。

まずは企業HPの研究所紹介ページを見ましょう。

その後は、プレスリリースや、発表している論文を読むと、最近の研究について知ることができます。

どちらもHPに載っているはずですので、しっかりチェックしましょう。

 

2. 業績

事業分野ごとの売上高利益率は先ほど紹介したアニュアルレポートで分かります。

売上高だけでなく利益率もチェックすることで、

稼ぎ頭の事業と、利益が出ていない事業が把握できますね。

また、売上全体の利益率が10%を超えていると、優良企業と言えます。

 

他に、個人的に注目すべきだと思う数字に、自己資本比率があります。

簡単に言うと、どれだけ借金せずに経営しているかを表します。

この値が60%以上ある企業はつぶれないと言われます。

会社の安定性が気になる時は、なんとなくのイメージではなく、自己資本比率で比較しましょう。

この値も、会社HPのどこかで公開されています。

 

3. 待遇

初任給は採用HPの募集要項に記載されています。

平均年収については、算出方法に注意しましょう。 

理系大学院生は基本的に技術系総合職として入社するので、総合職の平均で比較することが重要です。

一般職も含めた全体の平均だと、低く算出されます

こんな時、四季報総合版を見れば総合職の平均が調べられるので便利です。

 

就職四季報 総合版 2021年版 (就職シリーズ)

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  • 作者: 
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2019/11/29
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あとは、福利厚生も重要ですね。

住宅補助などは数万円単位で変わってくるので、初任給と同じくらい重要です。

合同説明会など、気軽に聞ける場所で聞きましょう。

 

4. 社風・雰囲気

志望企業をある程度絞った上で、最終的な決め手になるのは社風・雰囲気だと思います。

雰囲気を知るには、境遇の近い技術系若手社員にできるだけたくさん会うことです。

合同・個別説明会、OB訪問、研究所見学など、

志望度の高い企業については色々な機会を見つけては社員と話しましょう。

意外と企業ごとにカラーがあるのが見えてくると思います。

大事なのは、自分がその会社で働いているイメージができるかというところですね。

 

5. 勤務地

勤務地の決まり方などについてはこちらに詳しくまとめています。 

shuheichem.hatenablog.com

 

説明会で質問したり、OBに聞いたりして把握しておきましょう。

 

まとめ

なんとなく調べているとどの企業も同じように見えますが、

今回ご紹介した指標で比較すれば差が見えてくると思います。

噂やイメージで決めるのではなく、客観的指標で比較しましょう。

企業研究はいつからでも始められます。

なるべく早く進め、周りとの差をつけましょう。

  

化学メーカーの勤務地:希望は通る? 転勤はある?

化学メーカーの勤務地

こんにちは。化学系博士課程のshuheiです。

今回は化学メーカーの勤務地について。

 

「化学メーカーの勤務地って地方ばっかり・・・?」

「なるべく都会で働きたいけど、希望は通る?」

「転勤は多い?」

 

就職する上で、勤務地がどこになるのかって気になりますよね。

場所によっては、この先の人生を大きく変えてしまうかもしれません。

今回は、勤務地に関する疑問を解消するべく、まとめました。

 

 

1. 化学メーカーの勤務地

化学メーカー(特に大企業)の勤務地について、一般的に言えるのは、

大規模な工場や研究所を建てやすい地方が多いことと、

全国に拠点があり、転勤もありがちということです。

 

業務の都合上仕方ないですが、これがなかなかやっかいです。

化学メーカーに就職した人の中には、思わぬ場所に配属され、

そこでの生活に耐えかねて転職する方もいます。

どうせどこに行くか分からないし、と考えてしまいがちですが、

就活の一つの軸として、慎重に検討した方がいいかなと思います。

 

2. 勤務地の調べ方

理系大学院生が技術職として採用される場合、

基本的に勤務地は研究所か工場です。

企業HPの"企業情報---拠点一覧"や、"研究開発---研究拠点"

といったページを見ると場所が分かります。

研究開発職として応募したし研究所だろう、と思うかもしれませんが、

工場でも製品開発が行われていて、そこに配属になることもあります。

 

また、具体的な配属人数の割合は、就職四季報で調べる事ができます。

就職四季報 総合版 2021年版 (就職シリーズ)

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前年4月に入社した人が、どの都道府県に何人配属されたかわかります。

四季報は他にも企業の最新の情報が色々載っているので、持っていて損はないと思います。

 

3. どこに配属される?

研究所や工場が、製品の部門ごとに分かれている場合、

自分の専門分野と近い部門に配属される可能性は高いです。

しかし、以前の記事でも述べたように、企業に入って学生時代の研究と全く違うことをやる可能性もあります。

(博士について書いていますが、修士も同じです) 

shuheichem.hatenablog.com

 企業は学生が今持っている知識よりも、

これから企業で成長していくためのポテンシャルを重視しているというわけですね。

 

また、その時の企業の状況によって、

「この分野に力を入れていきたい(人が足りていない)から採用する」

といった事情もあります。

勤務地がどこになるかは、色々な可能性があります。

 

4. 勤務地の希望は出せる?

勤務地の決まり方として、いくつかのパターンがあります。

 

・エントリー時に希望を出す

あまり多くありませんが、日産化学などはこの方式です。

厳密には勤務地までは絞れませんが、エントリーの段階で希望の研究部門を提出し、選考が進みます。

あらかじめ配属を予約しておけるような仕組みですね。

 

・選考中に希望を聞かれる

面接などで「どんな仕事がしたいですか」などの質問があり、

それを加味した上で決められるパターンです。

したがって、勤務地も考慮に入れた上で、回答を準備しておきましょう。

 

・内定後、入社前の配属面談で決定される

入社が決まってから再度呼び出され、

面談で希望を伝えるパターンです。

もう内定は出ているので、希望が主張しやすいかもしれませんね。

 

・入社後、研修を終えてから決定

最も遅いパターンです。

入社前の段階で分からないのは少し不安ですね。

 

5. 勤務地の希望は通る?

企業側の事情もあるので、希望が通るとは限りません。

ただ、希望の出し方は重要だと思います。

「将来~ということを成し遂げたいので、

~の仕事に就きたいと思っています」

というように、具体的な場所ではなく、仕事の内容ベースで言うことが重要です。

企業側もできるだけやりがいを感じる場所で働いてもらいたいという思いはあるはずですので、熱意を見せましょう。

 

6. 転勤はある?

多くの会社において、経験を積ませるために他の部署への異動があります。

研究開発職であれば、研究所だけではなく、工場での開発を経験する、などです。

お客さんや現場の方とのやり取りを通して、

ニーズの掴み方やコストの感覚を身に付けられるなどのメリットがあります。

 

特に大企業などでは拠点が全国各地にあるため、

他部署を経験するための転勤もありえます。

逆に、規模が小さいところだとある程度絞られてきます。

勤務地を重視したい方は、少し企業規模の小さいところを狙うのも、個人的にはアリだと思います。

 

7. キャリアパスは様々

研究開発職として入社しても、その後のキャリアで

企画部門、営業、知財、人事などにいく可能性もあり、

キャリアパスは人によってさまざまです。

 

どんな可能性があるのか企業の方に直接聞くのがいいですね。

おすすめは、多くの企業が集まる合同説明会などです。

調べても出てきにくい情報を引き出すのにいい場所です。

 

まとめ

・化学メーカーの勤務地は地方が多く、転勤も多い

熱意をアピールして希望を出すことが重要

 

今回は、化学メーカーの勤務地についてまとめました。

個人的に勤務地は人生を左右すると思います。

入念に下調べし、悔いのないようにしましょう。

化学系大学院生の就活、適性検査(webテスト)対策はどうしたらいい?

こんにちは。化学系博士課程のshuheiです。

 この記事は理系の大学院生(特に化学系)を対象としています。

 

「適性検査(webテスト)の対策って何から始めればいいのだろう・・・?」

「研究室のメンバーで協力して受験すれば乗り切れる?」

 

就活を控えて、こういった不安をお持ちの方は多いと思います。

今回は、適性検査(webテスト)の対策についてまとめたいと思います。

適性検査はインターンや本選考の過程で必ず行われますが、きちんと対策していないと、意外と難しいです。

特に化学メーカーを志望の方を対象として、これだけやっておけば大丈夫!という対策をご紹介します。

 

 

いつから対策するか

対策を始める時期ですが、おすすめはインターン前の時期です。

M1(博士ならD2)の5~7月ごろですね。

そんなに早くから就活のことを考えるのか・・・と思うかもしれませんが、

他の学生と差をつけるためには、何事も早く動き始める必要があります。

 

インターンの選考でもほとんどの企業が適性検査を実施するので、

これを機会に対策を始めましょう。

対策といってもそれほど時間はかかりません。

少しでも問題に慣れているかどうかで点数はかなり変わってきます。

(どうしても時間がないという方も、一晩対策するだけでも違います)

この時期に一度しっかり対策しておくと、本選考の忙しい時期に慌てずに済みます

 

適性検査の種類

では、適性検査の種類について、理系の大学院生(特に化学系)が受ける可能性が高いものに絞ってご紹介します。

また、採用している主な化学系企業についてもご紹介します。

 

SPI(テストセンター)

まず、大きな分類として受験方式の違いがあります

会場に出かけて解くテストセンターか、 自宅のPCで行うwebテストです。

このうち、テストセンターはほぼSPIという種類のテストです。

(まれにSPI以外の試験でも会場受験型のものはあります。)

 

このテストの特徴は、一回受ければその結果を他の企業の選考にも使い回せる点です。

ですので、おすすめとしてはは夏インターンの時期にがっつり対策して受験しておき、

それを本選考でも使うと、本選考の忙しい時期に会場に出かけなくても済みます。

採用している化学メーカーには、JSRカネカなどがあります。

 

SPI(web)

自宅のPCで行うwebテストで多いのも、やはりSPIです。

webテストは電卓が使えますし、

その場でネットを使って調べたり人に聞いたりなんでもありです。

採用している化学メーカーには、クラレ住友化学などがあります。

 

玉手箱

SPIと並んで多いのが、玉手箱というテストです。

問題に対して制限時間が短いのが特徴です。

かなりスピーディに解く必要があり、事前の対策は必須です。

採用している化学メーカーには、旭化成三菱ケミカルなどがあります。

 

TG-WEB

上記二つよりも知名度は低いですが、TG-WEBというテストも受験の可能性があります。

一見難解な問題が多く、対策せずに受けると面食らうと思います。

解き方を知っていれば簡単に解ける問題もあるので、対策しておくとよいです。

採用している化学メーカーには、積水化学住友化学などがあります。

 

webテストの種類の見分け方

これから受けるテストが事前に分かっていれば、ピンポイントに対策できますよね。

テスト受験画面のurlと、制限時間でテストの種類と内容を見分けられます。

shuheichem.hatenablog.com

「受験開始」を押さなければ問題は始まらないので、

選考にエントリーしたらまず種類を見分け、対策しましょう。

 

おすすめの適性検査対策本まとめ

それでは具体的な対策方法ですが、やはり専用の問題集を購入して解くのがいいでしょう。

何冊も本を買うとある程度の出費にはなりますが、

就職活動はこの先何十年の自分の将来を決める重要なことです。

数千円を惜しんで不利になるのは、どう考えても割に合わないですよね。

 

 志望業界・企業で使われているテストの種類を調べられる!
この業界・企業でこの「採用テスト」が使われている! 【最新版】

この業界・企業でこの「採用テスト」が使われている! 【最新版】

 

 適性検査対策を何から始めればいいのか分からなかった私がまず購入したのはこの本でした。

なんと、この本には業界・企業ごとに、どの採用テストを採用しているかの最新情報が記載されています。

まずこれで自分の志望業界・企業を調べると、効率的に対策が進められるので、非常にオススメです。

 

SPI(テストセンター・webテスト)対策

ここでは二冊ご紹介します。私はどちらも購入し、解きました。

 

 まずはこちらの問題集です。

しっかりと問題を網羅していて、十分な対策ができます。

ただ欠点としては問題の難易度が全体的に低いということがあり、

本番で難しい問題に出会うと対応しきれないことがあります。

 

2021最新版 史上最強SPI&テストセンター超実践問題集

2021最新版 史上最強SPI&テストセンター超実践問題集

  • 作者:オフィス海
  • 出版社/メーカー: ナツメ社
  • 発売日: 2019/04/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

そこで有効なのが、こちらの問題集です。

全体的に難易度が高いですが、本番ではこのくらいの難易度の問題も出題されます。

いきなりこの本から始めると難しいとは思いますが、

これが解ければ自信につながると思います。

 

玉手箱・TG-WEB対策
必勝・就職試験! 【玉手箱・C-GAB対策用】8割が落とされる「Webテスト」完全突破法[1]【2021年度版】
 

 

玉手箱・TG-WEB対策としては、この2冊で十分だと思います。

重要なのは、問題に慣れ、制限時間の感覚を身に付けることですので、

時間を計りながら解きましょう。

 

研究室のメンバーと協力してやってもいい?

自宅受験型であれば他人との協力が可能です。

どうしても対策の時間がない方は、計算や読解に強い人を連れてきて、乗り切るのもアリです。

ただ、複数人でやると意見をまとめるのに余分に時間を使ったり、

一人に比べると集中力が落ちたりといったデメリットもあります。

非常に時間にシビアなテストなので、少しのロスも減点につながりかねません。

個人的には、将来を左右する就活なので、早めに対策しておいて、

ひとりで臨むことをおすすめします。

 

まとめ

今回は、化学系大学院生の就活における適性検査対策についてまとめました。

適性検査で大きな差がつくことはないとは思いますが、

早めに万全の対策をとっておき、内定までの第一関門をクリアしましょう。