学振博士の年金:学生納付特例は適用される?令和二年度最新版

学振博士の年金

こんにちは。化学系博士のshuheiです。

博士のお金事情についてもご紹介していきたいと思います。

今回は年金についてです。

 

「学振の収入で、学生納付特例は適用される?」

 

学振の特別研究員は、学振との雇用関係がないので、各自国民年金に加入する必要があります。

月20万円をもらっているとはいえ、授業料や税金なども払わないといけないので、

なかなか大変です。

そこで今回は、保険料の納付が猶予される学生納付特例が利用できるのかについてまとめます。

 

結論から言うと、

研究遂行経費の取り扱いを申請し、60万円以上使用していれば博士の3年間制度を利用できます

実際私も、博士課程の3年間、学生納付特例を利用しました。

 

*なるべく情報源を明記していますので、念のため自分でもしっかり確認してください。万が一、記事に誤りがあればコメントいただければ幸いです。 

*平成30年度の法改正により、令和2年度以降は給与所得控除の金額が変わります。本記事は令和2年度以降の制度に基づいた最新版です。

税制改正の概要 : 財務省

 

 

学振との雇用関係

学振からのお金は「給与」として税制上も扱われますが、雇用関係はありません。

ちょっと意味が分かりませんが....。

ですので、自分で国民健康保険国民年金に加入する必要があります。

よくある質問 | 特別研究員|日本学術振興会

 

保険料

1か月あたり16,540円です(令和2年度)。

国民年金保険料|日本年金機構

なかなかの額ですね。

 

学生納付特例とは?

学生の場合、保険料の納付が猶予される制度です。

国民年金保険料の学生納付特例制度|日本年金機構

「免除」ではないので、将来ちゃんと年金をもらうためには「追納」といって後から納める必要がありますが。

 

重要なのが、この制度に所得制限があることです。

上のリンクに詳しく書かれていますが、

前年度所得が118万円以下であることが条件です。

 

給与所得の計算方法は、こちらです。

No.1410 給与所得控除|国税庁

ここから逆算すると、収入が180万円の場合、給与所得が118万円になります。

(180-(180*0.4-10)=118)

つまり、所得が学振からの給与のみの場合、前年の収入:180万円以下が条件です。

 

学年別まとめ

では実際条件を満たすのか、結論から言います。

 

D1:前年はM2なので、普通は満たす

D2:前年の収入が学振のみなら、ギリギリ満たす

D3:D1時に研究遂行経費の取り扱いを申請し、60万円以上経費に申告していれば満たす

 

それでは詳しく見ていきましょう。

 

D1

前年はM1の1月からM2の12月なので、普通は大丈夫でしょう。

条件を満たします。

 

D2

前年はM2の1月からD1の12月です。

学振はD1の4月からなので、収入は9か月分。

収入金額は20万円 × 9 = 180万円ちょうど基準ですね。

他に所得がなければ、条件を満たします。

 

D3

前年はD1の1月からD2の12月です。

フルで収入があるので、

収入金額は20万円 × 12 = 240万円基準を超えてしまいます。

 

ですが、学振に研究遂行経費の申請をすることで所得を減らすことができます。

これは、給料の3割(年間72万円)を研究に必要な経費にできる制度です。

 

申請すると、源泉徴収票の収入等の金額が、3割少ない額になります。

すると、240 - 72 = 168万円となり、基準を満たすことができます。

 

ただし、3割を実際に使ったかどうかの申告が必要で、

3割に満たない場合、差分は次年度の収入に上乗せされます。

この辺りの扱いは学振の資料にあまり書かれていませんが、私もそうでしたし、こちらの方々のページでも言及されています。

学振の研究遂行経費が余った場合どうなるの | サイエンスカフェ|サイエンスカフェ

日本学術振興会特別研究員の研究遂行経費についての覚え書き - taoizm’s diary

 

したがって、D1時に使いきれなかった分が、D2時の所得として上乗せされることに注意する必要があります。

収入240万円から基準の180万円を引くと60万円ですので、

経費の総額72万円中、60万円を使っておく必要があるということです。

 

私はこんな計算はしていなかったのですが、ギリギリ基準を満たしていたので申請できていました。危ない...。

 

まとめ

・学振とは雇用関係がないので国民年金に加入が必要

・研究遂行経費を申告して60万円以上使用すれば、3年間学生納付特例を受けられる

 

なるべくソースを明確にしたので、しっかりと自分でも計算して確かめてみてください。

税金などについて知っておくと人生でいろいろ役立つと思います。

ありがとうございました。